「ホームページを作り直したい」「新しく作りたい」と思って、3〜5社に相見積もりを取ったとき、ほぼ全社のサイトに同じような言葉が並んでいるはずです。
「お客様に寄り添う」「成果につながる」「一気通貫」「地元密着」。正直、私自身も自社サイトでこれらを使います。だからこそ思うのですが、この言葉だけで会社を見比べても、判断材料にはなりません。
なぜか。それぞれの会社が「実際に何をやっているか」「どんな案件で利益を出しているか」が、サイトには書かれていないからです。
このコラムでは、私が岩手で10年制作会社をやってきて見えてきた「同じように見えるけれど本当は違う3つの会社の類型」を、できるだけフラットにお伝えします。
どの類型が「正解」ではありません。御社の状況によって、最適な会社は変わります。私の会社(ビークプロモーション)が最適ではないケースも、当然あります。

目次
同じように見える、3つの会社の類型
盛岡(および岩手・東北)で制作会社を選ぶときに出会うのは、ざっくり3類型です。
① 大手代理店系
東北博報堂・岩手日報広告社のような、広告代理店または大手代理店系列の制作部門・パートナー企業。大型予算(数百万〜数千万)の案件、TVCM・新聞広告との連動、知名度のあるクライアントの実績に強みがあります。一方で、30〜100万円規模の中小企業案件は社内優先度が下がりがち、地方の細かい現場ニーズには手が回りにくい傾向があります。単価は高めで、営業・進行管理・制作チームの分業コストが乗ります。年商10億円以上、または広告予算が年1,000万円以上ある経営者であれば検討の選択肢に入ります。
② 地方創生コンサル系(東京/横浜資本)
横浜や東京に本社があり、内閣府・自治体・大手企業のCSR/地方創生スキームを取りまとめている会社。盛岡や岩手に「地方オフィス」を構えて、制作を地元の連携企業に流す形が多いタイプです。自治体案件、企業版ふるさと納税スキーム、地方創生補助事業、大手企業との連動案件には強みがあります。一方で、純粋な売上向上ニーズ、運用改善、業務効率化・自動化までを含む伴走は不得意なことが多い。単価は相対的に安め(営業を本社が巻き取り、制作だけが現地で動く構造のため)。自治体・教育機関・公益法人、もしくは大手のCSR文脈で動く事業者には適しています。
③ 地元独立系(伴走型)
岩手・盛岡に本社を構え、独立資本で動いている制作会社。広告・マーケ・仕組み化まで領域を持つ会社と、Webサイト制作のみの会社に分かれます。中小企業の経営課題に近い距離で関わり、現場ヒアリング、長期伴走、改善まで責任を持つことに強みがあります。一方で、自治体や大手企業のCSRスキームの取りまとめは弱め。単価は中(営業・制作・運用を社内で完結するため、価値に見合った価格設定)。地元中小企業、医療法人、士業、地域に根ざしたサービス業に向いています。
私たち(ビークプロモーション)はこの③に立っています。
「価格」だけで決めると、3年後に後悔する話
ここからが本題です。相見積もりで3社から提案が来て、価格に20〜30万円の差があると、多くの経営者は安い方に流れます。「同じようなサイトなら、安い方がいい」と。これは、Web制作の現場にいる側から見ると、短期的には正解、中長期的には大損になりがちな判断です。
価格差の本当の正体
ある盛岡市内のクライアントから、こんな話を聞いたことがあります。
「他社さんでサイトを作ってもらいました。安かったので。でも、公開した後、誰も更新しないんです。問い合わせの方法も教えてもらえないし、直したいところがあっても『追加見積もりです』と言われる。結局、3年放置してます。新規顧客はサイトから来ていません。」
これは、安い見積もりに「制作後の運用・改善・サポート」が含まれていなかったケースです。価格差20〜30万円は、多くの場合、以下のどれかで埋め合わせされています。
- 戦略設計フェーズの省略:いきなり制作に入る。「誰に何を伝えるか」が後付けになる
- コピーライティング・撮影の外注化:別途見積もり、または自社で用意してくださいと言われる
- 公開後の伴走の有無:「納品して終わり」モデル。3ヶ月後・半年後の改善対応がない
- CMS(自社更新の仕組み)の簡素化:自分で更新できないので、毎回追加見積もり
- SEOの内部対策の浅さ:構造だけ作って、本気の検索流入設計はオプション
20〜30万円高い方は、これらをすべて「制作費に含めて」います。20〜30万円安い方は、含めていない。3年後、「結局、安い方は追加コストで結局100万円超えた」という話を、私は何度も聞いてきました。
判断軸:5つの質問
価格に飛びつく前に、相見積もりの各社に必ず聞いてほしい質問があります。
- 「公開してから3ヶ月後、6ヶ月後の運用改善は、誰がどう関わってくれますか?」
- 「サイトの中身(文章・写真)は、誰がどう用意するのが標準ですか?」
- 「公開後、私たちが自分で更新できる仕組みは入っていますか?」
- 「3年後にリニューアルが必要になった場合、データ移行や履歴はどう扱われますか?」
- 「制作費以外で、サーバー代・ドメイン代・保守費は年間いくらかかりますか?」
これらに即答できない会社、もしくは答えが曖昧な会社は、価格を下げるために運用後を犠牲にしている可能性があります。
「補助金」の使い方も、会社で差が出る
岩手県内の中小企業様であれば、小規模事業者持続化補助金(最大250万円)や IT導入補助金を使ってWeb制作を進められるケースがほとんどです。ただ、補助金の活用には2つの落とし穴があります。
落とし穴① 「補助金が下りる」前提で進めて、結果落ちる
審査に落ちたケースで、「制作費の半額を自社で全額負担することになった」という相談を何度か受けています。補助金の事業計画書を、制作会社と一緒に作り込まないと、採択率は下がります。
落とし穴② 補助金事業者の認定がない会社で進める
IT導入補助金は、「IT導入支援事業者」として認定された会社経由でないと申請できません。「補助金使えますよ」と言いながら、実は認定を持っていない会社もあります。補助金を本気で活用するなら、事業計画策定から伴走できる会社を選ぶことをお勧めします。
まとめ:盛岡で会社を選ぶときの、3つのチェック
長くなりましたが、相見積もり時にチェックしてほしいのは、結局この3つです。
- 3つの類型のどこに、その会社が立っているかを理解する
- 価格差の正体(運用後・撮影・コピー・CMS・SEO)を、必ず質問で確認する
- 補助金の活用を本気で考えるなら、認定・事業計画策定の伴走有無を確認する
これだけで、相見積もりの「読み解き方」は大きく変わります。御社にとって最適な制作会社が見つかることを願っています。


